【医師監修】円形脱毛症の原因と種類、治療方法とは?
- 作成日:2020年8月13日
- 更新日:2022年11月15日
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監修医師情報
円形脱毛症の種類と原因
広い範囲の髪の毛が徐々に薄くなる薄毛とはまた違い、部分的に髪の毛が一気に抜けてしまう円形脱毛症は、発見したときのショックが非常に大きいのではないでしょうか。急にたくさんの髪の毛が脱けてしてしまうと、その部分にまたきちんと生えてくるのか不安になってしまいますよね。そんな円形脱毛症ですが、治療することができるのでしょうか。
この記事では円形脱毛症がどのような症状なのか、考えられる原因などをご紹介します。円形脱毛症でお悩みの方や、対策をしたいという方はぜひ参考にしてみてください。
円形脱毛症とは
円形脱毛症は、円形や楕円形に部分的な髪の毛が抜け、コインぐらいの大きさが一気に脱毛状態になってしまう脱毛症です。一か所だけでなく複数の箇所にできる場合や、ときには頭部全体に及ぶ場合、帯状にできる場合などがあります。性別や年齢などによる発症の差はあまりありませんが、20代~30代に多くみられる傾向があります。
初期症状として、爪に小さなでこぼこができる、頭部に地肌が見える部分ができるなどがあります。その後、髪が抜けた周囲の毛を引っ張ったとき特に痛みがなく簡単に抜け落ちる、抜け毛の毛根部分が細くとがっているなどの症状が起こります。円形脱毛症は頭部だけではなく、全身に発症する可能性があります。 急激にたくさんの髪の毛が抜けてしまうことから「もう生えてこないのでは…」と不安になりがちですが、治療をすることで改善を図ることができます。改善してくると、抜けてしまっていた部分に点々と毛穴が見え始めたり、細く短い毛が生えはじめたりします。過度に不安にならず、改善を目指して治療を行いましょう。
円形脱毛症の原因
- 原因1:自己免疫疾患
- 円形脱毛症のはっきりした原因や治療法はまだ判明していないのが現状です。しかし、原因としていくつかの説が考えられています。
近年原因として有力視されているのは、自己免疫疾患です。本来は身体を守ってくれる役割を果たす免疫に異常が発生し、身体が自分の髪の毛を遺物だと認識して攻撃することで、髪の毛が抜けるのです。甲状腺疾患や尋常性白斑、関節リウマチ、重症筋無力症などのほかの自己免疫疾患と併発する場合があります。円形脱毛症とともに倦怠感、発熱などがある場合、できるだけ早い段階で医師の診察を受けるのが望ましいです。 - 原因2:遺伝
- 円形脱毛症の約8%に、血縁関係の人間が同じく円形脱毛症を抱えているというデータがあります。メカニズムなどはまだはっきりしていませんが、このデータから遺伝的な要素もあると考えられています。発症率は患者さまとの親等が近いほど高くなり、一親等の発症率は二親等以上の家族の10倍にもなるといわれています。
遺伝による円形脱毛症を予防することは難しいですが、同じ遺伝子を持つ双子であっても発症する場合としない場合があるなど、必ず発症するとは限りません。円形脱毛症になるのが不安で、親族に患者さまがいたとしても、あまり悩む必要はないといえるでしょう。 - 原因3:アトピー素因
- 円形脱毛症の4割がアトピー素因を持つ、または家族にアトピー素因を持つというデータがあるため、アトピー素因と円形脱毛症には何らかの関連があると考えられています。アトピーと聞くとアトピー性皮膚炎が思い浮かびやすいですが、アレルギー性鼻炎や気管支炎などのアトピー性疾患を持つ場合も該当します。こちらも詳しいメカニズムなどはまだ解明されていませんが、アトピー性疾患は免疫異常のひとつであるため、円形脱毛症と関連があると考えられます。
- 原因4:ストレス
- 以前は「円形脱毛症といえばストレス」というイメージが強かったのですが、現在ストレスは直接的な原因というより、円形脱毛症が起こりやすい状態を作り出す間接的な要因と考えられています。
過度な精神的ストレスは、円形脱毛症の原因として有力視されている自己免疫疾患や内分泌疾患の引き金となることがあります。またストレスをためこんだ状態が続くと、交感神経に異常をきたす可能性があります。交感神経が活発に働くと血管が収縮した状態になり、頭皮の血流が悪くなります。髪や頭皮への影響が十分に行き届きにくくなることから、脱毛が発症しやすくなります。
日常でストレスをためすぎないよう気をつけ、適度な運動をしたり、自然と触れ合ってリフレッシュしたりと自分なりのストレス解消方法を見つけておきましょう。
円形脱毛症の治療方法は?
- 局所免疫療法
- 患部に皮膚がただれたりかぶれたりする薬剤を塗り、炎症を起こさせる治療法です。
異常のために髪の毛を攻撃している免疫の対象を炎症に移動させ、正常な免疫反応を起こさせる目的で行われます。患部が広めの患者さまの治療で行われますが、湿疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある患者さまの場合、症状が悪化する危険性があるため慎重に検討する必要があります。保険適応外の治療であることも注意が必要です。 - ステロイドによる治療
- ステロイドによる治療は、注射と外用薬、内服薬に分けられます。
患部にステロイドを注射することで炎症や免疫機能を抑制する治療を、ステロイド局所注射療法といいます。高い効果が期待できますが、あまり広範囲の円形脱毛症には向かないことや強い痛みを伴うこと、注射部位が陥没する場合があることなどから注意が必要です。ステロイド外用薬は、円形脱毛症の範囲が広くなく、発症からの時間もあまり経っていない場合に使用されます。また飲み薬として内服薬が処方されることもあります。 - ミノキシジル外用療法
- 現在、唯一「発毛効果」が認められている成分である、ミノキシジルを使用する治療法です。
ミノキシジルは髪の毛を作り出す毛母細胞を活性化させることで発毛を促す成分で、一般的にAGAなどの抜け毛や薄毛の治療に使用されています。その発毛作用で円形脱毛症の治療にも効果が期待でき、円形脱毛症の場合はミノキシジルを使用した治療に保険適用が認められています。
ミノキシジルを配合している外用薬は、薬剤師と対面であればドラッグストアなどでも購入することができますが、それらはあくまでAGA、FAGAなどの治療目的の薬剤です。またミノキシジルは副作用が生じる恐れがあり、女性は特に慎重に使用する必要がある薬剤でもあります。円形脱毛症で治療にミノキシジルを使用したいという際には、まず専門のクリニックで医師に相談するのがよいでしょう。
円形脱毛症になったら
円形脱毛症はまだわからないことが多い病気で、決定的な治療方法が確立されていません。しかし、記事内で紹介した治療方法で改善する患者さまも多くみられるため、過度に不安を感じる必要はありません。治療が長引くケースもありますが、ヘアスタイルの工夫やウィッグを活用するなどしてストレスを減らし、根気よく治療を継続することが大切です。
円形脱毛症をはじめとした抜け毛や薄毛の悩みは、人に相談しにくく抱え込んでしまうケースも多くあります。しかし思いつめてストレスをためることで、髪や頭皮に悪影響を及ぼし、抜け毛がひどくなることも考えられます。
特に円形脱毛症の場合、セルフケアではなく医師による治療を受けることが望ましいです。発症したかもしれないと気づいたら、一人で悩まずに専門のクリニックに相談しましょう。どのような原因で発症し、どんなアプローチで治療をするのが効果的なのか、髪の毛や頭皮の専門家である医師に判断してもらうことができます。気軽にカウンセリングを受け、自分の状態に適した治療を受けることで、できるだけ早い改善を目指しましょう。
まとめ
円形脱毛症には遺伝やストレス、アトピーなど、さまざまな原因が考えられます。症状が進行すると、視線が気になり、さらなるストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
自分だけで悩むのではなく、原因をしっかりと突き止めるためにも、医療機関での診断が大切です。最近では薄毛・抜け毛などを専門としているクリニックもあり、相談しやすい環境を整えている施設もあります。症状が進行する前に、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
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