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ザガーロによる治療

新・AGA治療薬「ザガーロ」とは

デュタステリドを主成分としたザガーロはプロペシア同様、AGA発症の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する働きがあります。プロペシアに続きAGA治療薬として厚生労働省に認可されました。

ザガーロの特徴は、DHTに変換する原因となる5αリダクターゼの「Ⅰ型」「Ⅱ型」どちらも阻害してくれるということ。従来はⅡ型が主な原因とされていたのですが、プロペシアでは効果が見られなかった薄毛患者がⅠ型も阻害してくれるザガーロで発毛効果を得られたという例があり、注目が高まっているのです。

今までプロペシアでは思うような効果が見られなかった方にも有効といえるでしょう。

ザガーロのまとめ

商品名 ザガーロ カプセル0.5mg
効果・効能 5α還元酵素I型およびII型両方とも阻害する。
テストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)への変換を抑制し、男性型脱毛(AGA)の進行を遅延させる。
服用方法 成人男性は1日1回1カプセル服用
服用の際の
注意点
服用のタイミングは前回の服用から24時間の間隔を空ければいつでも良い。飲み忘れた場合は気がついたときに出来るだけ早く飲む。ただし、次の服用時間がせまっている場合は1回分とばし、次の服用時間に1回分のみ飲む。絶対に2回分を一度に飲まない。
副作用 勃起不全、リビドー(性欲)減退、精液量減少、射精障害、食欲不振、全身倦怠感、肝機能障害、黄疸など
禁忌 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、女性、小児、肝機能に障害のある人。また、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤への皮膚接触不可。
ジェネリック 東和薬品、沢井製薬、マイランEPD合同会社などから発売
価格 初回 5,300円、2回目以降 9,500円

ザガーロに含まれるデュタステリドとは

主成分デュタステリドは、日本では「アボルブ」として前立腺肥大の治療薬と同時に、AGA治療にも効果があるとして知られていました。(海外ではアボダートとして発売)2009年に「アボルブ」の名で前立腺肥大症の治療薬としてのみ承認されており、「ザガーロ」は2015年にAGA治療薬として承認されました。

ザガーロが有効なのはAGAのみ

ザガーロは悪玉男性ホルモン(DHT)に働きかける発毛薬のため、AGA以外の薄毛や脱毛症では効果はありません。
男性の薄毛にはAGA以外に、脂漏性脱毛症や円形脱毛症などがあります。
脂漏性脱毛症は脂漏性皮膚炎が原因となり、薄毛が進行してしまう症状です。円形脱毛症はストレスやアトピー、自己免疫疾患などで起こる症状です。この脂漏性脱毛症や円形脱毛症は、男性ホルモンの影響で薄毛が起こっているわけではないため、AGA治療薬での改善は見込めません。

全ての薄毛や脱毛症に有用な発毛薬ではありませんので、ザガーロの服用を考えている場合、まずは自身の薄毛の原因を把握し、医師に相談しながら決めましょう。

ザガーロとプロペシアの違いについて

成分特徴による違い

プロペシアの主な有効成分はフィナステリド、ザガーロの主な有効成分はデュタステリドです。フィナステリドは主にⅡ型の5αリダクターゼを抑制する働きをし、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型のどちらも抑制すると考えられています。作用する範囲が、頭頂部や前頭部に多く存在するといわれるⅡ型だけではないため、ザガーロはプロペシアよりもさまざまなケースの薄毛の改善効果に期待できます。

  • プロペシア
    プロペシア
  • ザガーロ
    ザガーロ

効果効能による違い

プロペシアの効果効能として期待されているのは「男性型脱毛症の進行遅延」です。症状の悪化を防いで進行を遅らせることが主目的であるため、根本的に改善するにはほかの方法も取り入れる必要があるといえます。

それに対し、ザガーロの効果効能として期待されているのは「男性型脱毛症の改善」です。症状の悪化を防ぐとともに、気になる薄毛部分を改善する働きも認められています。作用の強さは人それぞれの体質によりますが、ザガーロは薄毛治療に大きな役割を果たすといえるでしょう。

効果が出る期間による違い

プロペシアを服用し始めてから変化を感じるまでは、早い人で3か月ほど、目安としては半年ほどといわれています。一方ザガーロを服用し始めてから変化を感じるまでは、半年から1年ほどと少し長めです。これには、ザガーロが作用するヘアサイクルが関係しています。

髪の毛は通常、成長期・退行期・休止期と呼ばれるサイクルを繰り返しています。成長期(2~6年ほど)で新しい髪の毛が生えてきて成長し、退行期(2週間ほど)でだんだん成長が弱くなり、休止期(3~4か月ほど)で成長が止まって抜け落ちます。AGAにかかると、このサイクルが乱れて成長期が短くなるため、髪の毛が育ちきる前に抜けてしまうのです。

ザガーロの効果によって、乱れたヘアサイクルが通常に戻ったとしても、新しく髪の毛が成長するには時間を要します。変化がないからといって、短期間で「効果なしだった……」と考えてやめるのではなく、長い目で見て服用を続けることが大切です。

毛髪数はフィナステリドの
約1.6倍増加

デュタステリドを主成分とした「ザガーロ」を例に、実際にどのくらい効果が違うのか国際共同試験が行われました。これはAGA患者917人(日本人を含むアジア人が507人)を対象とした「ザガーロ」と「プロペシア」の効果を投与から24週時で頭皮中のDHT濃度を測定し比較したものです。

その結果、頭頂部の毛髪数、毛髪の太さ、硬毛数においてザガーロが1.6倍上回るという結果となりました。これにより、Ⅱ型だけを阻害するプロペシアと比べて、Ⅰ・Ⅱ型とも阻害することが出来るザガーロの方がDHTを強く抑制出来ていることが分かります。

  • グラフ1
  • グラフ2
    グラフ3

※プラセボとは有効成分を含まない錠剤のこと
※国際共同試験(グラクソ・スミスクラ イン「製品情報概要」)から引用

ザガーロの服用法とは

ザガーロの発毛作用がでる使用方法

ザガーロの発毛作用を引き出すには、正しい方法で服用する必要があります。1日おきに飲んだり、飲まない期間があったりすると、作用を引き出せません。さらに服用期間が長引いてしまうと、費用が高くなります。
また、「ただ飲んでいるだけ」では改善が難しいケースもあります。薄毛の原因は複数絡んでおり、例えば生活習慣やストレス、間違ったヘアケアが要因となっている方もいます。その場合、病院で発毛薬を処方してもらったとしても、生活習慣やヘアケアも見直さなければ意味がありません。
発毛薬を服用するのと同時に、薄毛となっている原因をできるだけ取り除くことが大切です。

そして注意したいのが、初期脱毛です。一時的に抜け毛が増えることで、前髪や生え際が薄くなる、細い毛が抜けるといった症状が現れるケースがあります。全ての方に起こるわけではありませんが、抜け毛が増えたことに驚いて服用を止めてしまう方がいます。しかし、ザガーロに含まれるデュタステリドの働きによって、ヘアサイクルが正常に戻り始めたサインですので心配はありません。
もし、太い髪がたくさん抜けている、初期脱毛かどうかわからないという場合は、医師に相談しましょう。

ザガーロの服用方法

ザガーロは、1日1錠を水かお湯で飲みます。水とお湯で作用の現れ方に違いはありません。ザガーロは、毎日続けて服用して初めて作用が現れるため、飲み忘れに注意しましょう。飲み忘れを防ぐために、毎日同じタイミングで飲むことをおすすめします。例えば、食後すぐ、入浴後の水分補給時、就寝前、起床後すぐ、昼休憩が終わるときなどがあります。

24時間以内に服用したからといって過剰摂取にはなりませんが1日1錠と決められているため、次に飲むタイミングは24時間後が好ましいです。早く効果を得たいという理由から、決められた用量以上服用してはいけません。多く飲んだからといって作用が高まることはなく、逆に副作用を招いてしまう恐れがあります。

また、食事の影響はないといわれています。「薬は食前・食後に飲まなければいけない」というイメージはありますが、ザガーロは好きなタイミングで服用できます。
そのほか、ザガーロはカプセル剤です。カプセルを開けて飲んだり、噛んだりすると薬剤が口腔や咽頭粘膜に刺激を与えてしまう危険性がありますので、そのまま飲み込むようにしましょう。

ジェネリック薬はある?

ジェネリック薬(後発医薬品)は元の薬と同じ有効成分で作られていて、飲みやすさや価格などが改良されるケースもあるため、処方を希望する患者さまも少なくありません。

現在、日本国内で販売が許可されているザガーロのジェネリック薬は存在しません。国内でジェネリック薬を販売するには、先発薬の特許期間が満了している必要がありますが、ザガーロはまだ特許期間が満了していないためです。

インドではジェネリック薬が販売されていますが、個人輸入にはリスクをともないます。効果や安全性などが保証されず、思わぬ健康トラブルを招く可能性もあるため、ジェネリック薬を探すのではなくクリニックを受診して先発薬の処方を受けましょう。

ザガーロの副作用について

薄毛の改善に期待が寄せられるザガーロですが、副作用も報告されています。どのような症状が出る可能性があるのかを服用前に知っておきましょう。

発生頻度が1%以上報告されているものは、射精障害や性欲減退、勃起不全といった性機能不全です。続いて確率としては1%未満ですが、発疹や頭痛、抑うつ、腹部不快感、乳房の女性化や痛みなどの乳房の症状、そのほか肝機能障害やアレルギー反応、むくみやめまいなども報告されています。

ザガーロは効果がないといわれる理由について

ザガーロを服用したけれど効果なしと感じる理由として、大きく分けて3つ考えられます。

まずは飲み始めてすぐにやめてしまうケースです。ザガーロは効果を実感するまでの期間が長いため「ぜんぜん変化がなかった」と感じ服用をやめる例などが挙げられます。

次に、効果が出たらすぐ服用をやめてしまうケースです。効果を実感してからも継続して服用を続ける必要がありますが、「効いてきたからもういいか」と自己判断でやめてしまうと、AGAの症状が再び進行する恐れがあります。

またザガーロを服用していても、頭皮環境や髪の毛に気を配らない状態では、効果が感じられないケースも考えられます。自分に合ったシャンプーで頭皮を清潔にする、規則正しい生活を送る、たんぱく質や亜鉛といった栄養素をきちんと摂取するなど、健やかな髪の毛が育ちやすい環境作りをしましょう。

ザガーロに耐性はあるのか

「同じ薬を服用し続けると耐性がついて効かなくなりそう」と考えがちですが、ザガーロには長期間の使用で耐性がつくという医学的根拠はありません。短期間でやめてしまうほうが、効果が感じられないリスクは高くなります。

ザガーロの作用がでるまでの期間について

「効果が出る期間」の項目でも紹介したように、効果を実感するまでには半年から1年ほどかかるケースが多いようです。効果が出ないからとすぐに諦めてしまわず、継続した治療を行いましょう。

ザガーロの注意点

女性・子どもは服用できない

ザガーロは男性型脱毛症への適応であるため、女性が服用するメリットはありません。それだけではなく妊娠中や授乳中の女性が体内に取り込むと、赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため女性の服用は禁止されています。

また20歳未満で服用した場合の有効性や安全性は確立しておらず、子どもも服用できません。

肝機能に障害がある人は服用できない

ザガーロは肝臓で代謝されることから、肝機能に障害がある方への投与が禁じられています。

経皮吸収に気をつける

ザガーロは経皮吸収されるため、飲み込まなくても、カプセルの中の薬剤に接触しただけで影響を受けてしまいます。そのため女性や子どもが薬剤に触れることがないよう注意が必要です。触れてしまった場合はただちに石鹸と水で洗うようにしてください。

またカプセルを開けて中身を飲もうとすると、女性や子どもが飛散した薬剤を取り込んでしまう可能性があるため、カプセルのまま飲んでください。

服用期間から6か月先まで献血は控える

服用中は献血をすることができません。服用をやめてからも、6か月ほど期間をあける必要があります。

飲み合わせに注意

一部の薬には、ほかの薬との飲み合わせによって副作用や効果が薄れてしまうことがあります。ザガーロに併用して飲んではいけない「併用禁忌薬」はありませんが、注意が必要な「併用注意薬」はあるため、常用している薬がある場合は、必ず医師に伝えましょう。

ザガーロの価格について

クリニックによって変動がありますが、ザガーロの価格はプロペシアの約1.5倍となっています。一般的な価格を見ると、1か月あたりプロペシアは7,000円ほど、ザガーロは9,500円ほどです。プロペシアには1か月あたり6,000円ほどのジェネリック薬も販売されているため、より高価に感じてしまうかもしれません。

当院ではザガーロは初回5,300円で2回目以降は9,500円となっております。

しかしザガーロにはプロペシアとは違った効果が期待できます。価格だけにとらわれるのではなく、医師と相談のうえで自分の症状に合った治療薬の処方を受けましょう。

ザガーロの個人輸入は危険

「クリニックで処方してもらうのは高い」「通院がめんどう」などの理由から、通販サイトで購入したいと考える方もいらっしゃいますよね。ザガーロは処方箋医薬品に登録されているため、国内で処方箋なしで購入することはできません。

個人輸入や代行業者を通して購入する方法はありますが、医師の指導なく使用するのはとても危険です。先に述べた通り、ザガーロには副作用の恐れや使用方法の注意点があります。加えて、日本では認可されていない成分が入っている、にせもの、有効成分がほとんど入っていないなど、さまざまなトラブルを招く恐れがあります。

また、個人輸入で購入したザガーロによって何か副作用が起こっても、自己責任となり医薬品副作用被害救済制度を利用することはできません。

そのため、ザガーロは必ず病院で処方してもらいましょう。

よくある質問

ザガーロの効果はいつ頃出てきますか?
ザガーロは平均して半年から1年ほどで効果が出てきます。ザガーロの有効成分デュタステリドはフィナステリドと比較すると1.5倍の脱毛を抑制する効果があるといわれています。
また、デュタステリドは半減期(薬品成分が血液に溶け込む濃度が半分になるまでの時間)が2週間ほどなのに対し、フィナステリドは約6~8時間なのでザガーロを継続して服用することで、血中のDHT抑制濃度がより一定に保たれ、長く安定した効果が期待できます。
ザガーロで初期脱毛が起こることはありますか?
ザガーロの作用により乱れたヘアサイクルを整えるまでの間、服用開始からおよそ1~3ヶ月ほどは初期脱毛が起こることがあります。
初期脱毛は、正常な髪の毛が生えるための頭皮をリセットする働きとお考えください。
ザガーロは保険が適用されますか?
ザガーロの処方は保険適用外です。基本的にAGA治療は自由診療となり全額自己負担となっています。そのため、ザガーロ以外の薬の処方も保険は適用されません。
ザガーロを服用し続けると耐性がつきますか?
ザガーロは長年服用したからといって耐性がついて効果が減弱するような薬ではありません。むしろ半年以上の連日服用が推奨されています。

まとめ

プロペシアを服用していても変化が感じられなかったけれど、ザガーロで症状が改善したというケースも見られます。治療薬ごとの特徴や効果を知り、正しい使い方で服用を続けることが大切です。

ザガーロは処方薬なため、まずは医師に相談しましょう。

ザガーロの
治療費用・料金

ザガーロ
(30錠)
初回 5,300円
2回目以降 9,500円

監修医師情報

    • AGAスキンクリニック 診療顧問 田中 洋平
    • 診療顧問

      AGAスキンクリニック 診療顧問 田中 洋平

    • 経歴

      2000年3月 信州大学医学部医学科卒業後、長野県内の病院、救急センター、信州大学付属病院にて研鑽を積む。
      専門医取得後、クリニカ タナカ 形成外科・アンティエイジングセンター開設。
      後に信州大学医学部より学位(医学博士)を取得し、新潟薬科大学客員教授や東京女子医科大学皮膚科非常勤講師として国内外問わず広く活躍し、AGAスキンクリニックの診療顧問に就任。

    • 資格

      日本形成外科学会専門医
      国際形成外科学会会員
      日本美容外科学会会員
      日本皮膚科学会会員
      日本美容皮膚科学会会員
      日本抗加齢学会会員
      日本熱傷学会会員
      日本救急医学会会員
      日本フォトダーマトロジー学会理事